目次
1. クラッスラ 花椿とは
幾重にも重なる丸い葉が、玉椿の花びらを思わせる――
クラッスラ『花椿』
は、寒風にもくじけず
冬空の下でそっと芽を伸ばす小さな詩人。甘酸っぱい香りをまとわせて咲く白花は、早春の光を呼び込む雪明りのランプです。
2. 基本情報(分類・属名・原産地など)
- 学名(流通名):Crassula cv. ‘Hanatsubaki’
- 分類:ベンケイソウ科 クラッスラ属
- 原産:南アフリカ原産種の園芸選抜と伝えられる
- 型:冬型(秋~春に生育が活発)
- 草姿:棒状に伸びる茎に鱗片状の葉が密に積み重なる
3. 魅力とは?
葉は緑玉を連ねた数珠のように規則正しく、それでいて節ごとに小さな息吹を秘めています。
陽に透けた縁はほんのりワインレッド。脇芽がぽこぽこと生まれる愛らしさは、眺める者の頬がゆるんでしまいます。
4. 香りと花
乾いた空気が透き通る真冬、乳白色の小花が群れ咲き、ほの甘く柑橘を思わせる香りを漂わせます。
星屑のような五弁花は一輪で二週間ほどもち、開花しても株が弱らないため、花後はのんびりと花がらを摘むだけで大丈夫。
5. 育て方のコツ
光:秋~春は戸外の直射日光がごちそう。
真夏は葉焼けと蒸れを避け、50 %ほど遮光した半日陰へ避難させましょう。
水:乾き気味が信条。用土がしっかり乾いてから鉢底穴より流れるまで与え、休眠期の盛夏・厳冬は月に一度軽く鉢周りにコーヒードリップするようにくるりと1〜2周で十分です。
温度:5 ℃を切る夜は室内の窓辺へ。暑さにはやや弱いので、風通しを確保し扇風機で空気を回すと蒸れ知らず。
土と肥料:水はけ重視の多肉用配合土に、緩効性肥料を春か秋に控えめに。
栄養もまた「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。
6. えんちょのひとことメモ
花椿は、“待つ愉しみ”を教えてくれる子。夏のあいだ一歩引いて見守ると、冬の晴れ間にふわりと微笑み返してくれます。
群生株を作って葉の塔を森のように茂らせれば、窓辺が小さな絵本の世界に早変わり。あなたの指先で、季節はそっとページをめくります。