ストルマリア カプリニー Strumaria chaplinii 星屑が咲く、南アの雪片 図鑑|希少球根の魅力と育て方

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基本データ

秋目覚めるとスルスルと茎を伸ばす

ストルマリア カプリニーとは

夜明け前の岩肌で小さく光る雪片——それが〈ストルマリア・カプリニー〉。南アフリカ・西ケープ州の花崗岩のくぼみにひっそり根を張り、秋になると葉より先に透白の星形花を掲げます。細い花茎に浮く六弁は、赤や緑のミッドリブを抱えたガラス細工。IUCNでは絶滅危惧(EN)に指定される希少バルブです。

基本情報(分類・属名・原産地など)

科名:ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
属名:ストルマリア属 (Strumaria)
学名:Strumaria chaplinii (W.F.Barker) Snijman
流通名:ストルマリア カプリニー、Strumaria “Snowflake” など
原産地:南アフリカ・西ケープ州サルダーニャ湾周辺
生育型:冬型球根——夏は完全休眠、秋雨とともに覚醒
耐寒性:おおよそ −2 ℃前後(乾いた状態で短時間なら耐える)

魅力とは?

株高わずか十数センチ。糸のように細い茎が放物線を描き、先端に真珠母のような花が群れ咲く姿は、宵闇に撒いた星屑さながら。開花後に展開する二枚の葉はビロード状の長毛で覆われ、光が当たると銀色の霧を纏います。ミニマムサイズながら四季折々に表情を変える“動き”こそ、本種がコレクターを虜にする最大のポイント。

香りと花

3〜5月、乾いた空気の中で開いた白花はほのかにハチミツの甘さを漂わせます。夜半には香りが濃くなり、蛾や小さな甲虫を誘う自家受粉型。人の鼻には“気づけばそこにある”程度の儚さですが、その控えめさがまた愛おしい。

育て方のコツ

:冬〜春はたっぷり日光を。休眠期(夏)は半日陰で雨避け。
:芽出しを確認したらたっぷり潅水。葉枯れ後は断水し、月1回の霧吹き程度に。
:硬質赤玉6+軽石2+川砂2など排水重視の配合。
温度:生育期は5〜20 ℃が理想。凍結の恐れがある場合は室内へ。
植替え:2年に1度、夏休眠中に球根を掘り上げ古皮を外して更新。
増やし方:実生が基本。種子は“レカルトラント”で、採種後すぐ播き湿度を保つのが成功の鍵。

えんちょのひとことメモ

晴れた秋の夕方、カプリニーの花茎に西日が差すと、透明な花弁がほの朱に染まり、まるで小さな行灯。
「今日は早く帰ろう」——そんな静かな合図をもらった気分になります。
忙しい日々のなかでも、束の間の薄紅色を見逃さない眼差しを忘れずにいたいですね。

開花
キャンディーのような蕾

●5月〜10月 (成長期)
●11月〜4月

展開は正にヒガンバナ
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この記事を書いた人

多肉植物の栽培を始め苦節九年当時、ストレスの多い現代社会に苦悩していた中....

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